Artists

坪田昌之

坪田昌之は1976年に大阪で生まれ、父が画家・版画家、親戚に家具職人という芸術や工芸に自然に触れられる環境の中で育ち、高校を卒業後、大阪芸術大学へ進み、在学中から関西や四国で開催された様々なアートイベント等に積極的に出品参加しながら、彫刻家として生きて行くことを志した。2001年に大阪芸術大学大学院芸術制作研究科彫刻修了後は、実家のある兵庫県姫路市にアトリエを構え、彫刻家として本格的に作品制作に専念する。

坪田は作品制作に際し、人間が本能的根源的に自然と繋がる力や知恵が有しながら、進化と進歩の長い歴史の中で徐々に忘れられてしまった自然との共生の仕方を、自身の作品を通して現代と未来の人間に「未知の記憶」として呼び起こすことを問いかけようとしている。

坪田がゆっくりと削り、磨き、刻んだ物質(素材)と、イメージの源となる色がそれぞれ反応し一つとなり、今を生きる人々が自らに内在する未だ知ることのない(気付くことのない)記憶へと意識を運ぶことを彼は願っている。

作品の素材として、坪田は日本人にとって身近かつ神聖な素材である木を中心に作品を制作しているが、日本の長い美術史に深く影響を及ぼしている仏像制作の技法等も良く研究し、仏師が「一刀三礼」の心で仏像を彫るように、常に木への敬虔な気持ちを持って制作に臨んでいる。

このようにして生み出されたシンプルで洗練され且つ深遠静謐な坪田の作品は、多くの個人コレクターを魅了するにとどまらず、世界中の建築家やインテリアデザイナーの感性と響きあいコラボレーションする機会も数多く与えられ、コミッションワークとして制作された作品が、国内外のオフィスビル、ホテル、マンション、病院など多岐にわたる建築・インテリアプロジェクトに納入設置されている。
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