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下山直紀

1972年群馬県に生まれた下山直紀は、幼い頃から手仕事やもの作りに慣れ親しむ家庭環境の中で育ち、2000年に多摩美術大学大学院彫刻専攻修了後、彫刻家としての一歩を踏み出す。大学、大学院で彫刻の基礎を学んだ下山は、二科展特選、損保ジャパン美術財団選抜奨励賞、同秀作賞を受賞するなど、その卓抜した技術力と的確な立体表現で若い頃から高い評価を得てきた。

下山は、決して奇をてらわず、素朴な感覚で動物をモチーフにした彫刻を手掛けながら、動物が有する独特な幻想性と物語性を作品の中に感じさせる作品を一貫して制作している。下山自身も「動物が時折見せる性状には、人間の理解出来ない能力を秘めていると感じることがある。それが同じ生き物として、とても魅力的であり、別次元の存在として感じることがある。」という言葉で自身の作品制作の原点を示唆している。

また特にここ数年は、明治期の木彫界に新生面を切り開き、日本美術史上に名を残した彫刻家–高村光雲(1852〜1934)の代表作「老猿」にインスパイアされた表現方法に挑戦するかのような作品を制作している。それは「今は、刀の一彫り一彫りに重みを感じる作品を作りたい。」という言葉からも裏付されるように、下山が目指している日本ならではの木彫表現であり、彫刻家としての王道を突き進みたいとの固い決意の現れでもある。

音楽やスポーツが世の中の人々の心を動かす力を持つ存在であるように、下山も自らの表現(彫刻)がそのような存在となることを志して制作している。
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