Artists

今井龍満

1976年東京に生まれた今井龍満は、父・俊満(1928〜2002)が作家(画家)という家庭環境の中で、父から美術についての様々な薫陶を受けながら育ち、1995年にはパリで滞在制作中の父の仕事を手伝いながら、グラン・ショミエールにてデッサンを学んだ。その後、2008年から作家としての活動を本格的に始めた。

今井の作品の描き方は彼独特の方法によって行われている。下書きやデッサン・写真を見ることなく、床に置かれたキャンバスや紙の上からエナメルを垂らし、自らの蓄積された記憶の中から一気に動物や人間を描くのである。この完全にはコントロールし切れない少しの偶然性を帯びた線の描き方によって、生命力溢れる作品が生み出されるのである。

動物は今まさに動き出そうとし、或は静止しようとしている瞬間が捉えられ、動物が本来抱えている獣性を瞳に宿した姿が躊躇いのない描線で描き切られている。また、人間においては、自らに内在する複雑な感情や、適切な言葉を見出すことが難しい一瞬の表情が作品に現れている。

今井の作品を目にした者は、そのエナメルの線と独特な色彩の組み合せによって、忘れることのない強い記憶を心に刻まれるのである。
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